[Namazu]
Geophysical Research Group
FNCT

平成7年度福井工業高等専門学校教育後援会研究奨励金による研究完了報告書

福井県周辺における地震活動の研究

3年 電子情報工学科 花山慎一
3年 電子情報工学科 藤田雅史
2年 物質工学科 関角知子

1 はじめに

 95年1月に発生した兵庫県南部地震(M7.2)を契機とし、「地震災害」等に対しての関心が高まってきた。また一方、地震学会の中で、南西日本の地震活動の活発化が指摘されており、研究の必要性を伺い知ることができる。我々は、福井県を中心に複数の地震観測点を設置し、地震活動を注意深く見守ってきた。今年度は、各観測点でとらえた地震活動の特長、特にその中でも白山周辺に関して、解析を試みた。その結果、白山山体直下に地震活動が存在し、比較的活発である事がわかった。詳細な報告を以下にまとめる。

2 使用データ

 我々は福井県を中心とした、白山観測点、峰山観測室、杉山観測点、上中観測点を設置、地震を継続的に観測している(Map 1)
 解析に用いた期間はそれぞれの観測点ごとに異なっており、

白山
88年8月6日から11月13日まで、
89年6月12日から9月10日まで、
92年8月1日から11月25日まで、
95年7月23日から11月10日まで、
地震総数556個

峰山
94年6月19日から96年2月ごろまで、
(タイムコードが読みとれないため不確定)
地震総数971個

杉山
94年9月30日から12月1日まで、
95年5月12日から9月14日まで、
地震総数112個

上中
95年1月1日から2月27日まで、
地震総数122個

 である。
 また峰山のデータにおいて1995年7月6日22:07のデータから1995年11月9日20時30分のデータまで、誘導雷のために、観測機器に故障が生じ、タイムコードが読み取れなくなってしまった。よって、日付の確定ができないわけであるが、この期間内のデータ個数を見ると、期間中、多少欠測になっている期間があるものと思われる。今回は主にS-P timeの頻度分布を中心に解析する為、その読みとり値の精度は小数点以下は四捨五入してある。

3 グラフ・図の解説

 白山観測点における地震発生総数グラフをfig 1-1〜fig 1-4、同様に、峰山観測点をfig2-1〜fig 2-3、杉山観測点をfig 3-1〜fig 3-2、上中観測点をfig 4-1にそれぞれ示す。これらのグラフはそれぞれの年に発生した地震をS-P time別に分けて描いた。また、S-P timeが0秒のものは、P、Sの位相の区別がつかないほど近地、もしくはS位相が読めない地震であり、今回のグラフからは除外している。

4 データ解析

 今年度は昨年度に引き続き、発生した地震の数を積算し、それまで起こった地震の総を日付毎にプロットした積算カーブを作成する予定であった。しかし今年収録できたデータ、あるいはデータベース化した過去のデータの観測期間が断続的であり、これらのデータを用いて積算カーブを作成し地震発生の変化を見ることができなかった。
 したがって今年度は時間的な変化を見ることより、S-P time別に発生した地震総数をグラフ化して距離的な地震発生の変化に着目した。このグラフ作成のため、S-P time別に地震発生数を集計ようのプログラムをC++言語で新たに開発し、1年ごとに起こった地震総数をS-P time別に集計するのに使用した。

5 考察

 まずfig 1(白山観測所)に着目する。fig 1-2においてS-P timeが30〜31秒の地震が多数読み取れた。これは、伊豆の海底火山噴火にともなう群発地震だと予測される。またfig 1-1,1-4においてS-P time9〜10秒の地震が多数確認できるが、これは、飛騨山脈の地震活動によるものだと思われる。またこの活動はfig 1-2,1-3においては特に目立って見うけられないがこれはこの時期に活動が静穏化しているためだろうと予測している。
 さらに、すべてのグラフにおいてS-P timeが2〜3秒の地震が他のS-P timeの地震に比べかなり地震発生数が多いことがわかる。これは白山直下の地震活動によるものであり、その活動が活発であることを初めて指摘することができた。次にfig 2(峰山観測所)については昨年も述べた猪名川町付近群発地震、阪神大震災、そしてその広義の余震が、顕著である。fig 3, fig 4はそれぞれS-P time13〜15(丹波)、11〜17(狭義の余震域)に対応する。
 ところで、兵庫県南部地震はもちろん、前述した海底火山噴火にともなう地震や、飛騨山脈の地震活動等は多数の研究者によって研究され報告が行われているのでここではとりあげず、白山の地震活動に注目することにする。
 S-P time2〜3秒の地震活動が目立って多いことは前述したとおりであるが、88年からのすべて(fig 1-1〜1-4)において、それぞれS-P time2〜3秒の地震の個数を観測日数で割り、地震の頻度を計算したところ、88年(fig 1-1)の頻度がもっとも高く、89年、92年、95年と最近になるにつれ、頻度が減っている。90年、91年、94年は観測していないがおそらく、この傾向になっているものと予想している。
 この事実から最近の白山の地震活動は小康状態にあり、比較的安定した時期であると思われる。逆に言えば、この地震の頻度が高くなれば白山の地震活動が活動期に入ったということであり、白山周辺における大規模な地震活動や、噴火に関する現象が起こることもありえるのではないだろうか。

6 感想

 今年取れたデータはタイムコードが読めていなかったりと不良なものが多くデータ解析の点で苦労した。峰山観測所は最近のデータにおいてもタイムコードが時々よめておらず、誘導雷による故障は確実であり、早急な修復が必要であると思われる。また、一昨年度から今年度にかけて我々地球物理学研究会・地震班としては、地震発生の個数のみを対象とし研究をしてきており、地震の波形解析については、なにも触れていない。したがって、次回の方針としては、地震の個数や分布だけでなく、地震の実質的な波形の解析も行っていきたいと思う。

7 謝辞

 本研究を進行するにあたり、ご指導くださった本校一般物理の岡本拓夫教官、前澤廣道技官に深く感謝いたします。また、報告書をまとめるにあたって、助言等を頂いた本校地球物理学研究会のみなさまに、深くお礼申し上げます。

8 参考文献

  1. 花山慎一,大蔵峰樹,西部友恵,藤澤峰子「若狭湾における地震活動の研究」福井
    工業高等専門学校教育後援会研究奨励金完了報告書(1994)
  2. 福井地方気象台「福井県内地震活動図」
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