Geophysical Research Group
FNCT

平成5年度福井工業高等専門学校教育後援会研究奨励金による研究完了報告書

若狭湾における地震活動の研究
指導教官 岡本 拓夫 教官

2年電子情報工学科 大蔵 峰樹
2年電気工学科 徳島 大己
2年土木工学科 森本 浩章



1.はじめに

福井工業高等専門学校地球物理学研究会は本研究課題に取り組み4年目となります。若狭湾周辺には本研究指導教官らが設置された豊岡観測点(兵庫県豊岡市畑上)、 杉山観測点(福井県南条郡河野村杉山)、京都大学防災研究所付属地震予知研究センター美浜観測点(福井県三方郡美浜町新庄)、そして昨年度設置された上中観測点 (福井県遠敷群上中町)の4点の観測点があり昨年度は上中観測点を除く3点のデータを震源決定に用いましたが、今年度は豊岡、上中両観測点のデータ不足のため、新 たに京都大学防災研究所付属地震予知研究センター福井観測点(福井県福井市西荒井町)のデータを地震決定のために用いました。また震源データも今年度のを含め13 個となり昨年度での考察を更に進めることができました。本研究を通して若狭湾及びその付近に起こる地震活動の特徴を調べるとともに、防災に対する意識を高める事がで きました。

2. 地震観測

 2-1観測点概要

杉山観測点(SUJ)福井県南条郡河野村杉山にあり、1987年7月より本研究指導教官によって観測が始められている。観測点の地域的特徴は、観測点を境として その西側が海面までの急角度の崖になっており、その高低差は300mにもなり晴天の日には敦賀半島から丹後半島まで一望できる。観測点周囲は山林であるため人工的ノ イズは少ないと思われる。

豊岡観測点(TOK)兵庫県豊岡市畑上にあり、1985年11月京都大学防災研究所(岡本などの研究グループ)によって観測が始められている。観測点の地域的特徴は、 丹後山地の谷間にあり地震計を設置した現場は、当集落の石きり場後である。観測点の周囲は山林で人工的ノイズは少ないと思われる。

上中観測点(AFK)福井県遠敷群上中町にあり、1991年8月より本研究指導教官によって観測が始められている。観測点の地域的特徴は、田烏集落から山間部には 行ったところで、旧田烏トンネル上中町側入り口の上中町第3配水池施設構内に観測点が設置されている。

美浜観測点(MHJ)福井県三方郡美浜町新庄にあり、1976年5月より京都大学防災研究所付属地震予知研究センター北陸観測所によって観測が行われている。

福井観測点(FKJ)福井県福井市西荒井町にあり、1976年6月より京都大学防災研究所地震予知研究センター北陸観測所によって観測が行われている。
今回はTOK、AFK両観測点のデータ不足のため用いた。

各観測点の位置をFig.1に示す。


 2-2観測経過

 TOKにおいてケーブル断線、観測機器の不調が相次いだため保守作業が間に合わず、欠測期間が長期にわたり実際に震源決定に使用できるデータは、1992年1月から1992年3 月までしか得られなかった。またAFKは、観測機器の不調とは貯水池の貯水の影響により震源決定に使用できるデータが得られなかった。SUJは、ほぼ本研究の全期間のデータが 得られた。

 2-3観測装置

 使用されている地震計は、SUJ、TOK、AFKに関して、固有周期1秒の1.5V/kineの速度型館震器で、MHJ、FKJは固有周期1秒の3.0V/kineの速度型感震器である。 データの収録装置としてSUJ、TOK、AFKにつてはOM−4インベントレコーダーを用い、MHJ、FKJはテレメーターにより北陸地震観測所で記録されている。
 OM−4の特徴は、上下動の変位、上下動の速度、水平動の2成分(東西、南北)の変位の4成分の地震記録と時刻コードが、カセットテープ(TDK AD120)の片面に約600個収録 でき、保守が簡単である。NHKのFM放送の時報により1日4回時計の自動較正を行っており、地震の着震時刻が高精度に読み取れる。

 2−4解析方法

 OM−4の記録は、256Hzでデジタルサンプリングされ、地震記象を64倍し音声帯域にDA変換してテープに記録されている。データの区切りを表すセパレーターとして、8kHzの信号 が記録されている。信号の再生は、NEC製PC−9801VM(V30 CPU)に接続された専用再生器にかけ、そこから送られてくる波形記録をAD変換ボードを介しOM−4再生読み取 りプログラムにより、画面に出力する。

3.震源決定と結果

 3-1地震データ

 解析に用いたデータは、92年1月1日から92年6月30日までのSUJにおけるS−P時間が20秒以内のもの(地震番号1を除く)で観測点に共通して観測されたものに限った。また MHJ、FKJについては京都大学防災研究所付属地震予知研究センター北陸観測所よりデータを提供していただいた。それらのデータをTable.1に示す。

 3-2震源データ

 震源決定には、本科機械工学科5年生の池口貴信先輩が昨年度作成された3点S−P時間を用いた震源決定プログラムを使用した。プログラムを使用するためには球面座標を 平面座標に展開する必要があるため、京都大学防災研究所付属地震予知研究センター松村助教授の作成されたベッセル球面展開プログラムを使用した。各観測点の位置を北緯 35.5°東経135.0°を原点とした平面座標(x、y)として震源決定を行った。構造はVp=6.0Km/秒の半無限構造を仮定した。観測点の座標をTable.2に示す。その結果、若狭湾 付近に発生した地震6個の震源を求めることができた。それぞれの地震について使用した各観測点のデータと震央座標をTable.3に示す。また震央をFig.1に、今年度を含めた4年間 間にわたって求められた震央をFig.2に示す。

 3-3考察

 地震番号1は京都府綾部市の断層10(Fig.3)付近に震源が求まっている。しかし観測点からのS−P時間が20秒近くあるが、震央位置は15秒以内にあるため震源はかなり深いと 考えられる。また地震番号2は岐阜県不破郡から滋賀県坂田郡にわたる断層29(Fig.4)付近に、地震番号5は福井県南条郡の断層24、25(Fig.4)付近に求まっている。また今年度は 若狭湾付近に2点(地震番号3,4)が求まった。今までの4年間のデータとあわせてみると、若狭湾内から日本海方面にほぼ直線上に6個の震央が並んでいる。このことから若狭湾内 にある海底断層S10(Fig.3)の延長上に広範囲にわたる断層、もしくは2つ以上の断層があるのかもしれない。

4.今後の課題

 今年度はTOK、AFK両観測点の不調のため震源決定に使用できたデータは半年間程度しか得られなかった。現在、丹後地方(京都府中郡峰山町)に京都大学地震予知研究センターの渡辺邦彦助教授らにより観測点の設置が計画されており、TOKよりさらに精度の高い震源決定ができると思われる。
 来年度も若狭湾付近の震源決定を行い、今年度の考察を進めるとともに、若狭湾付近で起こった地震スペクトル解析を行いたいと考えている。

5.謝辞

 本研究を進めるにあたりご指導くださった本校一般科目物理の岡本拓夫教官、前沢廣道技官に心より感謝いたします。兵庫県豊岡市の森茂樹氏、国立若狭湾少年自然の家の森利彦氏には観測点の維持、保守をしていただきました。また京都大学防災研究所付属地震予知研究センター北陸観測所の平野憲雄氏には美浜、福井両観測点のデータを提供していただきました。本校地球物理学研究会の学生の皆様には、助言などをいただきました。以上の方々にお礼申し上げます。

6.参考文献

 1)平野 憲雄 「震源の求めかた」No.1〜No.7
 2)池口貴信、松村嘉子 「若狭湾の地震活動」(福井工業高等専門学校教育後援会研究奨励金完了報告書(1991))
 3)石黒要、池口貴信、松村嘉子「若狭湾における地震活動」(福井工業高等専門学校教育後援会研究奨励金完了報告書(1991))
 4) 地震学 宇津徳治著 共立全書 1977
 5) 日本の活断層(分布図と資料) 活断層研究会編 東京大学出版会 1991
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