Geophysical Research Group
FNCT

平成16年度福井工業高等専門学校教育後援会研究奨励金による研究完了報告書

福井県及びその周辺における地殻活動の研究

           
5年 環境都市工学科 小林浩二
3年 電気工学科 高須洋佑
3年 電気工学科 乾隆一
2年 電気工学科 山本大祐
2年 電気工学科 鷲田晃暢
1年 電気工学科 加藤秀樹
1年 電気工学科 高間俊明
1年 電気工学科 寺田一樹

指導教官 岡本拓夫教官

1 はじめに

 地球物理学研究会では、地震活動や地盤特性について研究し、地震波の影響を統計的見知より調べるために、気象庁地震データベースを用いて有感地震の回数の解析を行っている。Hi-Netの整備に基づき今年度は観測点の撤去および、清水町笹谷と池田町谷口へ行き観測室の保守を行った。さらに地震の発生予測の研究の為に、地震の直前対象の観測を行っている。  

2 研究結果報告

  地球物理学研究会では福井地方気象台が行っている福井県内についての調査報告を基に、福井県内の各観測点の有感地震回数を集計している。集計したデータは平成10年8月から平成17年3月までとなった。昨年度は、福井高専近辺である越前町西田中と鯖江市西山町の有感地震数の差について言及した。今年度は統計的検知よりこの差と一定期間ごとの地震の発生回数が異なっているかを言及する。この2つの検定では両方とも十分大きい標本を用意できないため母分散を標本の分散から推定する際の誤差を考慮しt検定を用いて検定した。母集団は福井県での有感地震数とし、標本として用いたデータを観測している地震観測点は福井県内に広く分布している。広域で地震が起きている中での38箇所ということで有感地震数は無作為抽出したものとして扱った。 今回の調査では50以上の標本を得ることはできなかったので中心極限定理を適用することはできない。t検定を行う上で母集団が正規分布かそれに近い分布に従うかを調べた。集計したデータから階級表を作成し相対度数を求めた。グラフを描いたところ相対度数は近似値をとれば左右対称の山形になっていた。このためおおよそ正規分布に従うものと判断できる。 検定の際にt分布を求めた。自由度:nのときステューデントのt分布の密度関数はf(x)=Γ{(n+1)/2}/{√(π*n)*Γ(n/2)}*(1+x /n)-(n+1)/2 に従う。ガンマ関数:ΓはΓ(z)=∫{tz-1*e-t}dt(積分範囲は∞から0)と定義される。 福井県内の有感地震数について一定の期間ごとにその差があるかを検定した。感覚的に地震の回数の多少に気づくことあったが、本当に地震数に差があるかを明らかにするため検定を行った。標本を38箇所の地震観測点における1年間の有感地震数とした。これらは同一の観測点のデータため2群には相関はあるといえる。 まず平成10年8月1日から平成11年7月31日と平成11年8月1日から平成12年7月31日の2群の平均値の差を検定した。仮説:Hを「2つの期間の間には有感震度数に差がない」とする。自由度:n=37のときt37(0.05)=2.02である。標本の統計値は平均:x=4.03 分散:s2=7.28 標準偏差:s=2.70 である。有為水準は5%とした。  t=√(37)*4.03/2.70=9.19>2.02 であるから仮説:Hは棄却される。ここからこの2つの期間については有感地震数に有為の差があると判断される。同様にほか4つのケースについて検定した。この検定の結果、期間ごとに地震数の差があり感覚は正しかったことがわかった。 2箇所の地震観測点越前町西田中と鯖江市西山町の有感地震数の測定回数に差があるか優位水準5%で検定した。これは同じ期間の測定回数の差を出したためこの2群には相関があるといえる。仮説:Hを「2点間の間には有感震度数に差がない」とする。自由度:n=5のときt5(0.05)=2.57である。標本の統計値 平均:x=7.17 分散:s =5.14 標準偏差:s=2.27 から計算してt=√(5)*7.17/2.27=7.07>2.57であるから仮説:Hは棄却される。ここから2点間の観測点には有感地震数に優位の差があるといえる。これは去年の研究完了報告書での2点は堆積層の性質により有感地震数に差が出るという結論と矛盾していない。 これらの結果は当初の予測と一致しており、昨年度の研究結果を立証するものとなった。今回の研究結果を基に、地震活動の研究をより深めていくことを来年への課題としたい。

3.OMデータのデジタル化マシン 完成度の報告

前澤技官が開発中だったOMレコーダーによるデータのデジタル化マシンはいくつかのパソコンに残っていた必要なファイル,ハードウェアを集約し、補いながら組み立てた。波形の再生機能、保存等の基本的な部分は完成しうまく動作している。現在、すでに取り込み済みの波形データについては波形の解析を十分に行うことができる。しかし、A/D変換の機能については、何度も設定を変えながらテストを行っているがはいるものの、まだ再現と一新には至っていない。 ・OMデータがうまくA/D変換できない原因と考えられるもの ・A/D変換のサブルーチンのバグ ・A/D変換ボードのドライバの問題 ・OSとの互換性の問題 ・A/D変換ボードが信号を受け取っていない そのため、上記のことについて地道にハードウェアとソフトウェアの調整を行っていく必要がある。現在は、A/D変換ボードとOS、ドライバがうまく設定されているかどうかを調査中です。また、完成して動いている部分についてもまだ、バグがないとは言い切れないため定期的な修正が必要と考えられる。このソフトウェアの応用しだいでは、他の波形データの解析ソフトウェアを作製する際に非常に効率的にできたり、また応用できない場合でも非常に参考になること考えられます。来年度は、このソフトのA/D変換機能を完成させ、信頼性を向上させることに力を入れていきたいと考えています。  

4 Web

  昨年度に引き続きホームページの更新や、観測点のメンテナンスを行った。  

5 感想

  今回の研究は主に統計とOMレコーダーについて行った。2群の有為の差を検定したことでことでより統計学と地震活動についての理解が深まり実に有意な研究だったといえる。  OMデータのデジタル化マシンはA/D変換が正常に機能していないものの一応の完成をみせた。来年度もこのマシンの開発を継続し、これを完成させたい。  

6 謝辞

  本研究に於いて、本校一般科目物理担当 岡本拓夫助教授には様々なご指導を頂き、深く感謝します。誠にありがとうございました。  

7 参考文献

前澤廣道 OM式イベントレコーダー用地震波形読み取りプログラム用(1999)。
前澤廣道 Windows環境でのA/D変換と地球物理観測への応用(2001)。
気象庁 地震データベース(1998〜2005)。
北陸農政局計画部 福井県の水理地質図と地下水(1977)。
田代嘉宏 森北出版 工科の数学 確率・統計(2000)。
須洋佑他 平成15年度奨励研究完了報告書「福井県及びその周辺に於ける地殻活動の研究」(2004)。





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