Geophysical Research Group
FNCT

平成元年度福井工業高等専門学校教育後援会研究奨励金による研究完了報告書

福井地震断層の研究
指導教官 岡本 拓夫 教官

2EI  谷川  哲
    松田  典夫
    宮前  清幸
    竹下  孝則

まえがき

 前回、4Bの竹下先輩の奨勒研究ではボーリングデータの収集と整理を行った。 今回、自分は整理したデータをコンピューターで解析を行った.以前からプログ ラムを組んではいたが、はとんど練習や遊びでやっていたのであまり長いプログ ラムになることはなかったが、今回は初めてFORTRAN77でプログラムを 組んだこととデーターの数が今までになく多かったので、慣れない部分があって、 大変だった。  福井平野の地下には活断層があり、県内では最も大きな活断層の一つであると 考えられる。福井地震速報で、断層の位置は地震によってできた地割れ、または 土地の急激な高度の差を測量によって調されており、断層の大まかなところは 分かっている。今回は集めたボーリングデータの中のある特定の断層に着目し、 各点を補間して、断層の位置を確かめるのが目的である.  今回は、いろいろとなれない部分が多かったのと、データ数が足りなかったこ ともあってあまりよい結果は得られなかったが、この一年間の成果を見ていただ きたい。

福井地震断層について

 福井地震断層とは、福井県坂井郡芦原町北部から、金津町、坂井町、丸岡町、 松岡町を通り福井市南東部付近まで続く、県内ではもっとも大きな活断層の一つ である。また、この断層は、濃尾地震断層とも関係があるらしく、その延長線上 には、黒津断層、根尾谷断層が存在している。  福井地震は、昭和23年6月28日16時13分過ぎ福井平野を中心として起 こった大地震で、その震源は東経136度12分,北緯36度10分,またマグ ニチュードは、7.1である(参考文献1)。その被害は、福井、石川両県にわ たり死者4千人あまり、全壊家屋3万5千戸におよぶものであった.この地震の 震源が、福井平野北部の内陸で、しかも浅く、きらに福井平野の地質が厚い堆積 層で軟弱だったため、被害地域は狭かったものの、関東、濃尾地震に次ぐ大震災 になったと考えられる。現在この地震によって定義きれたいわゆる激震区域(蔑 度7)は、福井県今立町中山村から福井市森田地区、坂井郡金津町吉崎をへて石 川県までの南北の中心線に治っ.て約45キロメートルの区域であるが、全壊率5 0パーセント範囲がその半分以上をしめ、全壊率100パーセントの範囲も約6 分の1の面積に匹敵するほどであった。(参考文献2) しかしそれほどの大地 震を引き起草し泡断層も、厚さ約50メートルから深いところでは200メート ル以上ある堆積層に埋もれており、現在でもそのはっきりしぬ状態は、判ってい ない。しかしその深い基盤の岩盤上では、断層の影響で岩盤のが、約200メー トルもずれていることが、福井地震シンポジウム(1988)で天地、竹内両氏 により指摘きれている。(参考文献5)

福井平野の基本構造について

 福井平野の基盤は、福井県水理地質図説明書によると安山宕や、凝灰宕によっ て形成きれており、今までに調べられている基盤の深度は、浅いところで48メ ートル、深いところでは最高243メートルであり全体的に基盤の起伏は激しい ようである(参考文献3)。その上部に稚積している堆積層は、九頭龍川、足羽 川、日野川などによって上流の山地から運ばれたものである。ほとんどの柱状囲 において、洪水によって運ばれた砂礫層や、砂層と粘土層の繰り返しで、第四紀 沖積粘土層、砂層、砂礫層、洪積沖積粘土層、砂層、砂礫層などが、広報囲にわ たって層状に椎横していることが判る.洪積砂礫層は、三里浜付近がもっともお ちこんでおり、九頭龍川、日野川、足羽川、竹田川の上流にいくにしたがって地 層面が高くなっている(参考文献4)。

収集したボーリングテデータの 整理について

 断層の位置を確定する方法として、多くのボーリングデータを集めてそれから 地層の高低差をだし、断層の位置を決定するという方法もある。 そのために国土地理院発行の2万5千分の一の嶺北地方の地図をつなぎあわせて、 その上に集め汲ボーリングの位置をおとしていった。集めたボーリングのデータ は、全部で212個である。またそのボーリングデータには、緯度、経度、洪積 砂礫層上面の高き、洪積砂礫層下面の高さ、そしてボーリングした地層の高さが 含まれている.この中で特に断層発見に必要なのは、洪積砂穣層の上面と、下面 の高きである.なぜ洪積砂溌層に着目したかというと、洪積砂礫層は、大洪水に よってできた地層であるのでその分布には一様性があると考えられているからで ある.すなわち、洪横砂礫層に急激な変化が見られるとすれは、それは後天的な 原因たとえば、地震断層による不連続面の形成などが考えられるからである。  これだけの情報を人間の手で整理し、解析することは、はとんど無理に近い. そこでコンピュータを使い、そのデータを整理し解析しようと試みた。  断層の位置を決定するプログラムは、データ中の洪積砂礫層の上面の海面から の高度を補間して、得られた結果をグラフにして、傾きの速いから断層の位置を 確定しようというものである。(図1参照)  ボーリングデータの使用数は204個である。計算に必要なデータは、経度・ 緯度・洪積砂礫層上面高度で、緯度・経度は秒単位まで、洪積砂礫層上面のデー タはメートル単位まで利用した.このデータを補間する際にデータの位置は平面 座標で表わすために、ベツセルフェロイドからのXY平面への展開法により平面 座標に置き換えた.球面展開の原点は(136°00′00”,36°00′00″)にしてある.次 に球面展開により平面に直したデータを500m間隔の格子に区切り、その中のデー タの平均を求めた.これは、データの補間をする時に、計算しやすいようにするぬめである。 データの検索方法は]方向の一行を取り出し、補間を必要とする点 でかつ2つ以上のデータで囲まれた補間点を探しだし、ラグランジェ補間で補間 するものである。同様にY(緯度)方向の一列ずつに対しても行ない、座標上の データすペてを処理使用としたが、科学計算用サブルーチン(S S LU)がコー ルできなかっ危ので時間の関係上、今回は出力できなかった.  写真は平均したデータ間の勾配を一定のものとして計算して、データのない部 分を計算したものである.色は各点の洪積穣層上面深度を示している。色に対応 する高度は速いを示すためだけに使ったので写真では示きれていない.囲2はそ の写真に対応する大まかな地図である。図上に示した明るい部分は写真から読み とれる活断層の大まかな位置である。


↓洪積砂礫層状面深度

下の画像をクリックすると拡大します。

図2

洪積砂礫層状面深度

地電流観測

 この章は、この奨励研究をさらに発展させる方向で考えたものである。この章 で述べる方法は、京都大学防災研究所付属上宝地殻変動観測所の中山先生に講義 して碩いたものである。今年から実験的に観測を行う予定で、観測器具も用意し てある。次の奨励研究のテーマにする予定である.  地磁気・地電流の観測を利用して地球内部構造の手懸かりをつける方法を地磁 気・地電流法といわれている.  地球磁場は一定不変でなく、絶えず変化している。そのうち一日周期で繰り返 している変化は地磁気日変化と呼ばれ、また時には、地球磁場が急激な擾乱を受 けることがある磁気あらしがある。これらの変化は地球外部の磁気圏や電離層に 一時的原因をもち、太陽風の消長に大きく影響される。  地球磁場が数十年、数百年のタイムスケールで変化することが知られていて、 地磁気永年変化とよび、これらの変化は地球内部が原因ときれている。

見かかけ比抵抗

 簡単には、表皮深度に相当する溌きの範囲で起こっている物理現象を基にして いるといわれるが、しかし、実際には地下は均質でないので平均的な見かけの物 性を計測することになる。  地下の比抵抗分布を調べるには、周波数帯を変え、異なった表皮深度について 見かけの比抵抗値を知り、これから実際の分布を計算する。この理論は地下構造 が1次現的であれは問題はないが、そうでない場合は工夫を要する.このなめ実 際の探査においては、通常電場、磁場の直交成分を租潮するだけでなく、磁場の 垂直成分も観測しなけれはならない.  また、このMT法では、浅部の導電体、地形が大きく影響するので特に注意を 必要とする.このため最近台bstickにより考えられた配列方式のMT法が 用いられてきた。  一般にMT法は周波数体にゆるものであるが、その探査深度が大きく地下数十 血にも及ぶ.むしろ、浅部の2〜3km程度を知る方が周波数帯の空中電界が微弱 なため難しい.十分なS/N比のデータ収集しなけれはよい結果は得られない.
地電流観測用電極

1.綱版または銅棒 (30cm*30cm*1〜2mm)
2.鉛版または鉛管 (大ききは1に準ずる)
3.炭素板または炭素棒
  (大ききは種々あるが炭素棒は15〜20mmで1m程度のものが多い)
4.硫酸銅鏑(CuSO4)用役を素焼きの壷に入れたもの
  (非分極型とか平衡型といわれている)
5.塩化縁を用いたものが開発中

 電極は金属性のもので、地中において酸化など化学変化を起こきず、経年的に 変化せず、大地との接触抵抗はできるだけ小きいものがよい.また、自然の電位 差は数μX〜mV程度の微弱な電位差を測定するので、導線とハンダ付けとの間 にも異種の金属間電位差などが生ずるくらいであるから、接地抵抗、絶縁等十分 考慮しなけれはならない。  導線はシールド緑を使用する.単線を使用すると人工的な電磁波のアンテナの 役をすることがある。  測定機(もっとも簡単にはペンレコーダーを使用するが、アンプ等電気系はフ ローティグタイプアースはとらない)。また人力インピーダンスは高い数Ω由程 度のものを使用する.  電極間遠距離は普通100mを基準にする.mv/100m か mv/km 埋設される電極 は、地表より1mより深い所に埋没するが、矩期間で測定する場合、地表より10 〜15m程度で測定可能である.

さいごに

 昨年度中に教育後援会奨励金で研究したことはこのようなことである。今回 の報告書では、このような中間報告のような不完全な形でしか報告できないこと をお詫びしたい。次の教育研究会奨励金にも応募して、今回の続きとして研究 し、きちんとした報告書を書きたいと思っている。最後に、この研究の指導し てくだきった物理教室の岡本教官、ご協力くだきった前澤技官、福井高専の義江 名誉教授、京都大学防災研究所付属上宝地殻変動観測所の中山 武先生、物理教 室の研究仲間の皆きん、その他多くの協力してくれた皆さんに感謝して終わりた い。

参考文献

参考文献1
理科年表 昭和63年版
      東京天文台締集
参考文献2
    昭和23年福井地震調査研究速報
             日本学術会議 福井地震調査研究特別委員会
参考文献3
    福井県水理(地下水)地質図説明書
               福井県
参考文献4
 福井県水理地質と地下水
               北陸農政局計画部
参考文献5
    月刊地球 福井地震40周年記念SYMPOSIUM
               海洋出版株式会社
地震班論文集へ戻る



ご意見ご感想はNAMAZ伝言板までお願いします。 by Webmaster