Geophysical Research Group
FNCT

平成元年度福井工業高等専門学校教育後援会研究奨励金による研究完了報告書

甲楽城断層の研究U
指導教官 岡本 拓夫 教官

4年電気科 有田 健
4年電気科 蔵本 守功
4年機械化 原  一博

はじめに

 昨年度から引き続き二年目にあたる本研究だが、今年度はデータの収集とその 整理を行なった。
 観測機近傍に落雷するという事故があり、1988年8月以降の地震のデータに雑 音が多く含まれるようになり、それ以降は満足なデータが収集できなかったもの の、観測開始以来120あまりの地震データをデジタルデータとして収集するこ とができた。そして、それら一つ一つについてPtime、Stime、Max Amp.など を読み、記録した.

 これらのデータを分類、整理して甲楽城断層近辺(杉山観測点の地震観測シス テムで感知きれる範囲内の地域)の地震活動の状況を調へた。
 また、杉山観測点は、その検知能力が方位によって変化していることが岡本他 (1988)によって示唆されているので我々このことを調べ、そのような状況が見 られるようだと結論できたので報告する.

地震波形データについて

 観測期間内に、120あまりの地震波形データが得られた.
 Fig.1に波形例を挙げる。これらは杉山で記録される、もっとも一般的な波形 である。このような波形から、前述した通り、それぞれについて、Ptime、Polar ity、Stime、Max Amp.、Ftimeを読み取った。
 Table.1は月ごとの得られた地震の数である。1〜13個までの地震が、平均 的に起こっている。有意な季節変動は認められなかったが、データの収集期間が 矩いためとも考えられるので、これからも続けて観測が必要と思われる。
 TabIe.2はS−Ptimeの頻度分布である.この表を見ると、1〜5秒の地震が 一番多い。これは、約40Kmぐらいまでの地震である。杉山から半径40Km というと、大体福井県全域であり、この範囲には、福井地震断層、柳ヶ瀕断層、 花折断層、三方断層等の活断層があり、これらで起こった地震であると考えられ る。

地震波形の方位変動について

 岡本他(1988)、岡本他(1989)よると、甲楽城断層のごく近傍に地震波の減衰率 が大きな領域が存在している可能性が推察されている。特に岡本他(1989)では、 波形の卓越周波数の方位による遭いを言及している。
 我々は、このことを確かめるためにP波初動の一波長の長きと、S−Ptimeとの 関係が方位によって遭うかどうか確かめてみた。
 P波初動の一波長の長きというのは、Pの立ち上がりから、視認で一波長の長 さを測ったものである.実際はスペクトル解析をして逢いを見出すのが望ましい のだが、観測きれた波形の多くがサチュレートしていて(飽和していて)スペク トル解栃ができないので、このような手段をとった。
 Fig.2がその結果である。地霊はマグニチュード3以上、横軸はS−Ptime、 綻軸はPの一波長の長きである。計算には岡本他(1988)のTable.3を使用した。 三角の点が南西方向からくる地票の点で、破線とA2がその傾きを示したものであ る。まるの点と、実線とAlは、その他の地震のものである。
 地震波は、長い距離を進むほど減衰する.そして、高調波成分の方がその減衰 率は高い。S−Ptimeが長くなれはなるほど、観測点から震源までの距離は長く なり、減衰により初動pulse幅が大きくなるのでグラフは右上がりになる。
 グラフを見ると、A2の方が傾きが大である。これは、南西方向からくる地震波 の方が、高調波成分の減衰率が高いということを示している。これは、岡本他(1 989)に述へられている理論に合致している。

おわりに

 岡本他(1989)に述べられている理論を確認することを試み、理論に合致する結 果が得られた。しかし、まだデータ数が少なく、確実であるとはいい難い。これ からも観測を続け、データを蓄積して、この結果を確実なものとしたい.  120ものデータを処理するのは本当に疲れるものであった。表にすると全く そのような苦労の後は見られないのであるが。 
 最後に、指導教官の岡本教官、前澤技官、京都大学防災研究所付属北陸微小地 震観測所の平野氏に感謝して、この報告書を締括る.


参考文献




参考文献1


   岡本拓夫、前渾廣道、義江修二、有田健、蔵本守功;甲楽域断層における地震活動



   福井工業高等専門学校 研究紀要 自然科学・工学 第22号,1988
                              P P.15−P P.24

参考文献2


   岡本拓夫、渡辺邦彦、西上鉄也、前澤憲雄、前澤廣道、義江修二;甲楽城断層周辺での地震活動と地震波伝播特性



   京都大学防災研究年報、1989(in press)


付録

        Table1&2
        Table3

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