わかりやすい地震の説明、そして「大森公式」と「余震の大森公式」

(文責 福井工業高等専門学校地球物理学研究会)


 

 福井県出身の地震学の父と言われる大森房吉は、1918年に地震発生の震源決定のなかで、
 「大森公式」を発表しました。ここではその大森公式をはじめ、簡単な地震学について説明します。

1.私たちの地震の感じ方

あるとき、読書をしていました。
その時

「ビリビリ… ビリビリ…」「ガタガタ…ガタガタ…」

机に置いてある、あなたの飲みかけのコーヒーは揺れています。
それに気づいた瞬間…

「ユサユサユサユサ…」

あなたのコーヒーはこぼれてしまいました。この一連の
「ビリビリ… ビリビリ…」「ガタガタ…ガタガタ…」「ユサユサユサユサ…」の現象が地震です。
(コーヒーがこぼれたのは、地震による被害の現象です…)
さて、地震はなぜ発生するのでしょう? しかもどこで発生しているのでしょう?

 

 2.わかりやすい地震の発生メカニズムと震源の相対的な求め方

私たちが立つ地面はプレートに乗っていて、プレートの動きによって、どんどんと力が加わっていきます。
 その地下の地盤(岩石)がその応力に耐えられなくなったとき、岩盤は破壊し波動が励起します。
 それが地震です。地震が発生すれば、縦波(P波)と横波(S波)そして表面波が励起します。
 前章の
「ビリビリ…」はそのP波であり、「ガタガタ…ガタガタ…」はS波の揺れ、「ユサユサユサユサ…」は表面波です。
 各波には速度差があり、媒質(地質)によって多少変化はしますが、縦波では通常4〜9Km/sで
 地中を伝わっていくのに対して、横波では3〜4km/sの速度で地中を伝わります。
 その速度差から、地震が発生して観測地点でP波が到着してから、S波が到着するまでの時間の違いが発生します。
 (これを初期微動継続時間と言います)ので、観測地点から震源までの距離をつかむことができます。
 そこに観測地点が下の図1のように複数あれば、岩盤の破壊地点、すなわち震源が特定できます。

この震源距離と初期微動継続時間の関係を示したのが「(震源距離の)大森公式」(Omori formula)であります。

←図1

 

3.    「大森公式」

 前章でP波とS波の到着時間の差、いわゆる初期微動継続時間が地震波形の記録からわかります。

震源からの距離は初期微動継続時間に比例するので、

は比例定数)

 が得られます。
 P波の速度をとして、S波の速度をとすれば、

 となります。の比例定数は「大森係数」と言われ、の値は8をとります。
ここから、実際のそれぞれの観測点で大森公式により求めた、距離を半径として円を描き、3つの共通弦を
引くと、1つの点が定まります。それが、震源の真上にあたる地表の点、
震央図2中 点E)です。

←図2(上空から見た図と考えてください)

 次に震源の深さを求めます。 ここで、先述の共通弦のひとつを用いて、(図2中 JKの線)半円を描きます。
 そして、JKの線と垂直な線を描き、半円との交点を作ります。(図2中 の線)
 それが震央からの震源までの深さになります。
 なぜそれが震源の深さになるのかは、下の図3を見て下さい。
 を軸とする半球となります。(図2のの半小円)


↑図3(地中の断面図と見てください)  この球が全て交わる点が震源となります。

 

   4.「余震の大森公式」

 地震はたいてい3つの過程に分けられ、本震の前に起きる小さな地震を前震、本震の後に起きる地震を余震と言います。
 (この3つがはっきりしないのを群発地震と言います。)
 大森房吉は余震発生の回数が、時間とともにどのように減って行くかという規則性も、見つけ出しました。

 その式は、(t)を単位時間あたりの余震の回数とし、は各地震によって定まる定数とした場合、

で表され、

 「(余震の)大森公式」(Omori formula)と言われます。
 しかし今日では、上の式を改良し、より多くの余震系列について対応できるようにした、下の
 「(余震の)改良大森公式」(modified Omori formula)(宇津徳治が大森公式を改良しました)
 が用いられます。

「改良大森公式」は=1の場合は、「(余震の)大森公式」と一致するが、は1よりもやや大きい値をとる場合が多いです。
 は大きくても1日、普通は0.1日以下です。
 これによって描かれるグラフは大抵次のようなグラフとなり、両対数グラフで取るとほぼ直線になります。

 

 余震の観測において、「(余震の)改良大森公式」に当てはまらない場合、特にグラフより下に外れた場合、
 応力の不均質が強まったと考えられ、次に発生する余震において、比較的エネルギーの大きな余震が発生しやすいことがあります。

   5.まとめ

以上のように、大森房吉は現在の地震学において大変重要な発見、法則立てを行い、世に名を残しています。
 震源の特定や余震発生の回数から、地震発生の原因を捕らえ、発生過程を明らかにすることが、現在の地震学の
 主流となっています。
 地震、雷、火事(山火事など)、おやじ(?)などと表現される自然災害の中で、被害が一番広範囲で甚大な1つが、
 地震です。
 地震を完全に予知できれば、まだ記憶のある阪神大震災のように人々が混乱することを最低限に食い止められるかも知れない。
 私たち、地球物理学研究会は微力ながら様々な地震に関する勉強、研究を通して、少しでも平和で安全な生活を考えて
 いきたいと考えています。

6.指導、参考文献など

 指導:福井工業高等専門学校 岡本拓夫 助教授  前澤廣道 技官

参考文献:「地震学」 宇津徳治著 共立出版 発行
      「新地学」 力武常次 など 著 数研出版 発行
      「物理学読本」 朝永振一郎 編 みすず書房 発行


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